宮城県石巻市にある水産加工会社、「末永海産株式会社」。
代々この地で漁師を営んできた家系に生まれ育った、創業者(現会長)"末永勘二"が、自社で扱うわかめ、牡蠣、ほや、等々。
芳醇な三陸の海の幸にまつわるお話を皆様にお届けいたします。
季節限定の特別なブランドわかめ「春告げわかめ」
早春だけの特別品。通常のわかめ漁の時期よりも早く、わかめが柔らかい新芽の内に早朝収穫する末永海産の季節限定のブランドわかめ「春告げわかめ」。
春告げわかめの季節が始まりました。
早いもので春告げワカメの時期が来ました。巷では正月気分がまだ抜けぬ5日、東松島市大曲浜のワカメ水揚げ場に向かいます。
夜明け前の真冬の海でわかめを収穫する
船を出したのは、まだ陽の昇らない午前6時のこと。気温は0度、身を切るという表現以上だと漁師の相澤さんは話します。
春告げわかめ専用のイカダで育成しています
相澤さんは90台近くのワカメ筏(いかだ)を末永海産の「春告げわかめ」専用として養殖してくれています。
今年の春告げわかめは?
今年のワカメの出来について聞いてみました。
水温と栄養塩(ワカメが成長するための海水に含まれる栄養分)は順調に推移しているそうです。
又種苗も良質な出来で、今年も松島湾塩釜の種苗を巻き付けたとのこと。この塩釜の種苗は同じ松島湾大曲の海に非常に適していて、日本で最も早く新ワカメの刈り取りが可能だそうです。
見た目にも柔らかく美味しそうな葉体です。神棚にお供えした後、早速社内で試食してみました。
“シャキシャキ”か“シャリシャリ”か表現は上手く出来ませんが、誠に「春を告げる」逸品です。
通常のわかめとは段違いの歯ざわりと柔らかさ
春告げわかめ開発秘話。
春告げワカメは開発して30年近くなります。
養殖業を営んでいた父(会長父)から 「昔は天然ワカメを湯通しし、井戸水につけ、一週間は保存可能で食べていた」 との話を聞きました。
自分自身も当時ワカメを扱った商売を10年以上は行っており、『そんなに日持ちする訳がない』と思っていました。 本当かどうかを試すために、実際にワカメを海水でボイルし、海水冷却という実験をしました。
すると、私の予想は外れ、保存も効き、美味しいワカメが生まれました。
「鶯(ウグイス)」は鳴き始める季節が早春であることから「春告鳥(ハルツゲドリ)」の別名があります。 「正月3が日過ぎてすぐ刈り取る、春を告げるわかめ」というコンセプトの「春告げわかめ」というネーミングにしました。
当初は買い付け浜の選定に時間がかかりました。
・茎まで食べられる柔らかさ。
・早朝水揚げ、即日出荷、翌日販売。
この2つを確立する為に、日夜、浜の人たちと折衝したことが思い出されます。 正月から4月までの適宜摘採を可能にしたのは、ひとえに漁師の皆さんの協力があってこそと感謝しています。
早朝刈り取りした「春告げわかめ」は 自社工場でボイルされ鮮やかな緑色になり水揚げ当日に出荷されます。
今年も春だけの特別品をよろしくお願いいたします。
末永海産では現在、大曲浜から「春告げワカメ」の買い付けをしており、大曲浜の収穫が終了後、徐々にワカメ買い付けの浜を北に移動していきます。
また、弊社もご協力いただいている漁師の皆様の想いを形に表すため、設備改良や最も重要な鮮度保持に努めています。
ワカメは古代より健康食品として食されており、九州最北端門司地方では和布刈り(めかり)神社が存在しております。現代も旧暦元日早朝の闇の時間帯にワカメを刈り取りして、神様に海の安全と豊漁を祈ります。
本年も皆様が満足できる春告げワカメを提供できるように、社員一同力を合わせます。よろしくお願いします。